クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「そう。でもね、これ、私なの」
「え!?」

 驚いたが、言われてみれば、鼻の高さとくりくりな目元は、確かに目の前のエミリアさんに似ている。

 これはつまり、エミリアさんは本人が推しキャラクターになりきる〝男装コスプレイヤー〟ということだ。

 エミリアさんは楽しそうに画面をスワイプして、そのキャラクターの様々なコスプレを見せてくれる。

 その中に動画があった。キャラクターに扮したエミリアさんの動く口元と共に聞こえてきたのは、どう聞いても、祐駕くんの声だった。

 はっと祐駕くんの方を向くと、彼は再び大きなため息を零した。

「こうやって、時折エミリアのお遊びに付き合わされていたんだ」

 すると、エミリアさんが怒ったような口調になる。

「でもね、愛の言葉は映茉さん以外の人には言えないって頑なに断ってくるのよ。だから、もしかしたら祐駕、愛の言葉を映茉さんにも伝えてないんじゃないかって思ったの」
「つ、伝えてもらってますから!」

 思わず口早に伝えると、エミリアさんは「まあ♡」と顔を綻ばせた。
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