クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「つまり、祐駕はただのケチ――違った、愛妻家ってことね!」

 エミリアさんはふふっと笑いながら、「安心したわ」と零す。
 エミリアさんは、日本語がとてもお上手だ。

「だが、不思議だ」

 祐駕くんが口を開く。彼の方を向くと、優しく細められた瞳と目が合った。

「映茉には、自然に紡ぎたくなるんだから」

 え?
 突然漂い始めた、甘い空気に動揺していると。

「愛してるよ、映茉」

 優しい笑みと共に、突然彼の口から愛の言葉が紡がれる。とたんに、頬が熱くなって仕方ない。

「キャーーーっ♡」

 エミリアさんが叫ぶように声を上げるから、それで私はますます顔が熱くなる。もう、沸騰しそうだ。

「祐駕、もう一回! もう一回!」
「ダメだ」
「もう一回言ってよ!」
「ダメだ」

 無邪気にはしゃぐエミリアさんと、淡々と返事をする祐駕くん。そんなおかしな光景に、私は思わず笑ってしまった。
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