クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 そこで、私はふとエミリアさんに違和感を覚えた。
 思っていた嫌悪感もないし、威圧感もない。むしろ、明るくて、親しみやすい人だ。

 じゃあ、なんでドイツでのレセプションの時、あんなに勝ち誇ったような態度を取っていたのだろう。

「エミリアさんって、私のこと嫌いじゃなかったんですか?」
「え!?」

 エミリアさんは声を上げた。

「嫌いだなんて! むしろ、祐駕の奥さんだって聞いて、どんな人だろうってずっと話してみたかったの!」

 それから、はっとして顔を顰める。

「私、どこかで失礼な態度を取ってしまったのかしら? 教えてくれる?」

 エミリアさんは申し訳無さそうに聞いてくる。だから私は、正直に伝える事にした。

「初めてお会いした時に、私のこと見たあとに、なんていうか、その……笑われてしまった気がして」
「え? あ! ああああ!」

エミリアさんは急に顔を真っ赤にして、両手で顔を覆ってしまった。けれど、ふう、と息をつくと、まだ赤い方のまま、私の顔を見た。
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