クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「エミリアさん、一人で大丈夫だったかな?」

 エミリアさんの姿が見えなくなると、私はぽつりとこぼした。

 朝明台駅から目的の駅までは、途中で乗り換えなければならない。この駅には各駅停車も快速も停まるから、乗る電車を間違えるととても時間がかかってしまう。

「大丈夫だろ。あれだけ日本語喋れるし、それに前の聖地巡礼旅行も一人旅だったんだから」
「そっか」
「それに、エミリアなら迷っても、周りの人巻き込んで何とかするだろう」

 全く根拠はないが、何となく想像できてしまう。
 祐駕くんを〝お遊び〟に付き合わせてしまうくらいなのだから、エミリアさんはきっと、パワフルな人だ。

 思わずふふっと笑いを零すと、ふと駅の運行情報を示すモニターが特別中継に切り替わった。映っているのは、あの特急電車だ。

 思わずそちらを見ていると、無事目的地に着いた電車の運転台から出てきた旭飛が、大臣たちと握手を交わしていた。
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