クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 その後、大川電鉄の謎の団結力を発揮した渾身の出し物で大いに沸いた披露宴を終え、祐駕くんと二人、そのホテルのスイートルームにやってきた。

 今日は二度目の〝初夜〟だ。
 けれど、一度目とは気持ちがぜんぜん違う。

 色々な想いを噛み占めながら、窓の外に広がるみなとみらいの夜景を眺める。
 いろいろなことがあった。けれど、今はどれも大切な思い出。

 今日の幸せを迎えるための、道のりだったのだと思える。

 そんな感慨にふける私を、祐駕くんは後ろからぎゅっと包んだ。
 一度目の時を思い出し、思わずふふっと笑みが漏れた。

「どうした?」

 祐駕くんは言いながら、私の耳たぶにキスを落とす。

「何でもない」

 言いながら、あの日のように祐駕くんの腕に手を置いた。

 ドキドキするのは変わらないけれど、あの時と違うのは、ここに愛を感じていること。
 愛を感じるから、ニンマリと頬が垂れてしまう。

「隠し事はなしだ」

 窓ガラスに映った祐駕くんと目が合う。見られていたことに気づいて慌てて頬を引き上げたけれど、頬をむにっと摘まれてしまった。
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