クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 幸せな気怠さに微睡んでいると、祐駕くんは不意にため息を零した。

「どうしたの?」
「いや……俺は、〝幸せな家庭〟を築けるのかと、考えていた」

 え、何で? 私は十分幸せだよ?
 そう、思ったのだけれど。

「何度映茉を抱いても、なかなか子供が出来ない」
「ふふっ」

 そんなことを、心配していたなんて。

「映茉は、幸せな家族になりたいんだろ?」
「うん。でも、もうなってるよ」

 私は祐駕くんの腕にすり寄った。

「子供がいなくたって、私たちは家族でしょ?」

 始まりは、愛なんて無かった。
 けれど、たとえ子どもがいてもいなくても、今、愛は確実にここにある。
 だから、私たちは〝幸せな家族〟で、いられるんだ。

「そうだな」

 そう言った祐駕くんが愛しくて、私は彼の頬に拙いキスをした。
 それがいつしか、深いキスに変わる。

 祐駕くんはきっとこれから、戦争のない、平和な、幸せな世界を作る。
 私もそのお手伝いができるように。せめて、幸せな家族を守れるように頑張ろう。

 彼からの止まらないキスに酔いしれながら、私はそう、心に誓ったのだった。

 【終】
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