クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
それからは味のしない(本当はおいしいんだろうけれど)食事を咀嚼して飲み込み、運ばれてきたデセールまで食べ終わりレストランを出た。
てっきりそのまま持月くんは部屋に戻るのだろうと思っていたのだけれど、乗り込んだエレベーターでは見送りの為なのか、当たり前のように一階のボタンを押していた。
東京の夜景がどんどんと近づいてくる。私たちしかいないこの空間で、私は謎のドキドキにさいなまれていた。
どうしよう、私、本当に持月くんと結婚するって決めちゃった……。
夢じゃないか確かめたくて、何度か腕をつねったけれど、持月くんに怪しまれたし痛かっただけだった。
エレベーターを降り、豪華なエントランスに着く。今日はもうお別れ。けれど、「じゃあね」と上げようとした私の手を、持月くんは優しく絡めとった。
「え? 持月くん?」
男性にこんな風に指を絡めて手を繋がれるなんて、初めてだ。
どうしよう、送ってくれるのかな。それとも、今夜はこのまま返したくない、とか言われる――?
ドキドキと高鳴る胸と、妄想に顔が火照ってしまったのだけれど。
「区役所に、婚姻届をもらいにいこう」
「はい!?」
告げられた一言に、思わず大声が出る。フロントの人たちが全員こちらを向いたのが分かって、私は「早く行こう!」と持月くんの手を引いた。
てっきりそのまま持月くんは部屋に戻るのだろうと思っていたのだけれど、乗り込んだエレベーターでは見送りの為なのか、当たり前のように一階のボタンを押していた。
東京の夜景がどんどんと近づいてくる。私たちしかいないこの空間で、私は謎のドキドキにさいなまれていた。
どうしよう、私、本当に持月くんと結婚するって決めちゃった……。
夢じゃないか確かめたくて、何度か腕をつねったけれど、持月くんに怪しまれたし痛かっただけだった。
エレベーターを降り、豪華なエントランスに着く。今日はもうお別れ。けれど、「じゃあね」と上げようとした私の手を、持月くんは優しく絡めとった。
「え? 持月くん?」
男性にこんな風に指を絡めて手を繋がれるなんて、初めてだ。
どうしよう、送ってくれるのかな。それとも、今夜はこのまま返したくない、とか言われる――?
ドキドキと高鳴る胸と、妄想に顔が火照ってしまったのだけれど。
「区役所に、婚姻届をもらいにいこう」
「はい!?」
告げられた一言に、思わず大声が出る。フロントの人たちが全員こちらを向いたのが分かって、私は「早く行こう!」と持月くんの手を引いた。