クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜

ご両親にご挨拶

 ああ、緊張する……。
 実家に帰るだけなのに、身体ががちがちだ。

 私は今から、交際0日の持月くんとの結婚の御許しをもらうために、実家に向かっている。

 電車の中は比較的空いていて、私はドア近くの二人掛けの席に腰掛けていた。

 電車に揺られる私の隣には、かっちりとしたスーツ姿の持月くん。高校の時から変わらずクールな彼は、今もポーカーフェイスだ。
 きっと、国の代表としていろいろな偉い人と話したりしてるから、こういうのも緊張しないんだろうなぁ、と思う。

 一昨日、唐突なプロポーズを承諾した私。一週間後にはドイツに戻るという持月くんは、日本にいるうちに籍を入れたかったらしい。
 それで、突然だが私の休日に合わせて、土曜日の今日、互いの実家に行こうと持月くんは午後休を取ってくれたのだ。
< 30 / 251 >

この作品をシェア

pagetop