クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「あれ、持ってきたか?」
「うん」

 持月くんに聞かれて、私は持ってきた大きな紙袋を掲げた。ここには、記入済みの婚姻届が入っている。

 一昨日、店を出た後二人で区役所へ行き、私が間違えそうだと言うと持月くんは婚姻届を三枚ももらってくれた。
 それから、持月くんはその場でさらさらっと必要事項を記入して、私に託してくれた。

 互いの両親に認めてもらったら出そうと、証人の欄は互いの親に書いてもらうことにしている。

 突然結婚なんて言い出すから驚いたけれど、こういうところを見ると、持月くんは昔のイメージ通りの誠実な人なのだなと思う。
< 31 / 251 >

この作品をシェア

pagetop