クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「おかえりなさい。そしていらっしゃい、……んまあ!」

 実家につくと、母が意気揚々と出迎えてくれた。私の隣に立った持月くんを見て、目を丸くする。

「ご無沙汰しております、持月祐駕です」
「やっぱりそうよね、高校の時に映茉と同じクラスだった!」

 母はどうやら、持月くんのことを覚えていたらしい。

「もう、紹介したい男性がいるっていうから、どんな人かとドキドキしちゃったじゃない! 知ってる子で良かったわ~。どうぞ、上がって」

 促され、持月くんと一緒に実家へ上がった。

「俺のこと、覚えてたな」
「うん、うちの母、ミーハーでイケメン好きなんだよね。同じクラスだった男の子、全員覚えてるかも」

 こそこそと話すと、持月くんは小さくフッと優しく笑った。
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