クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 リビングに入ると、持月くんはさっそく丁寧に膝を折り、正座をした。私も倣って、同じように座った。
 お茶を持ってきてくれた母が腰を下ろすと、持月くんはまっすぐに母を見る。

「突然の訪門で、驚きのことと思います。本日、私は映茉さんとの結婚をお許しいただきたくご挨拶に参りました」

 持月くんがそう言って頭を下げると、母は「あらやだ、頭を上げてちょうだい!」と慌てたように手をかざして振った。

「東大卒の外交官って、持月くんのことだったのね! 昨日、電話で映茉から聞いたけれど、そんなに素敵な人とお付き合いしてるなら早く言いなさいって、映茉を責めちゃったのよ」

 母は嬉しそうな顔で、早口で続ける。
 ちなみに『お付き合いをしていた』というのは母の勝手な勘違いだ。
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