クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「そしたら知ってる顔の持月くんが来るじゃない! もう、万々歳で結婚を祝福するわ、きっとお父さんもそう思ってるはずだから」
母はちらりと背後を見る。そこにあるのは、小さな仏壇だ。
急に複雑な顔で笑う母に、『付き合ってはいない』なんて言えずに苦笑いを浮かべると、持月くんは「ありがとうございます」ともう一度頭を下げていた。
「だから頭は下げないでちょうだいよ、持月くん! あ、もう『持月くん』は変ね。祐駕くん! そうだ、結婚式とか考えているの?」
「申し訳ないのですが、私はまだドイツでの仕事が残っておりまして。次の春には帰国予定ですので、その後に考えさせ――」
「あらやだ、気が急いちゃったわね私」
持月くんの言葉を遮りながらも、母はうふふと、嬉しそうに頬をほころばせる。なんだか申し訳ない気持ちになった。
母はちらりと背後を見る。そこにあるのは、小さな仏壇だ。
急に複雑な顔で笑う母に、『付き合ってはいない』なんて言えずに苦笑いを浮かべると、持月くんは「ありがとうございます」ともう一度頭を下げていた。
「だから頭は下げないでちょうだいよ、持月くん! あ、もう『持月くん』は変ね。祐駕くん! そうだ、結婚式とか考えているの?」
「申し訳ないのですが、私はまだドイツでの仕事が残っておりまして。次の春には帰国予定ですので、その後に考えさせ――」
「あらやだ、気が急いちゃったわね私」
持月くんの言葉を遮りながらも、母はうふふと、嬉しそうに頬をほころばせる。なんだか申し訳ない気持ちになった。