クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「そうだ! お母さん、あの――」

 私はまだ嬉しそうにキャッキャうふふしている母に婚姻届を差し出した。

「この証人の欄、書いて欲しくて」
「もちろんよ!」

 母が証人の欄を埋めていくのを見届けていると、持月くんはこちらを振り向いた。

「お義父さんにも、ご挨拶していいか?」
「うん、私も一緒に行くね!」

 立ち上がった持月くんを、仏壇の前まで案内する。そこには、まだ父の遺影が置いてあった。

「お母さん、火つけるね」
「はいはい、どうぞ~」
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