クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 湘南を後にして、やってきたのは横浜山手。駅を出て、山手ならではの坂を登った先に、持月くんの実家はあった。

「嘘、本当にここ……?」
「ああ」

 高級住宅街だと見ただけで分かるその一角にある、ヨーロピアンな白い外貌の大きな家。横浜山手といえば古くからの西洋館が有名だが、そのイメージに劣らない。

「すごい、綺麗なお屋敷」

 入り口のレンガ風の階段を上ったところで呟くと、「俺が帰国した時に竣工したから、もう築十五年くらいだけど」とぼそりとこぼした。

「そういえば、持月くんって帰国生だったよね。ご両親は、何のお仕事してるの?」
「父も外交官だ。俺が日本に戻ってくる前は、在米日本国大使館で参事官をしていた。だから、俺も一緒にアメリカにいた。今、父は大臣官房審議官だ」
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