クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
すると、持月くんは「頭を下げなくていい」と私の肩に手を乗せる。私が顔を上げると、持月くんはご両親に向き合い、淡々と話しだした。
「映茉は仕事も頑張っているから、結婚のことをなかなか言い出せなかったんだ。黙っていて悪い」
持月くんはご両親の勘違いを否定せず、むしろ流れるように話を合わせる。彼は、演技が得意なのかもしれない。
「映茉さん、祐駕と結婚すると決めたなら、お仕事はお辞めになるのよね?」
不意に名指しで話しかけられ、「はい?」と首を傾げる。すると、向かいに座る持月くんのお母さんが、私にニコリと微笑んだ。
「外交官の妻になるんだもの。海外にもついていくんでしょう?」
「あ……」
そんなこと、これっぽっちも考えていなかった。持月くんも、ドイツには来なくていいと言ってくれた。
けれど、この先の将来はどうなのだろう。私は彼と結婚して、どう生きていくつもりなのだろう。
何も言えないでいると、持月くんが私を庇うように右手を優しく握ってくれた。
「母さん、映茉の仕事のことはまだ決めてないから、口を挟まないで欲しい。俺が春には日本に戻るから、今のタイミングで籍を入れたいだけなんだ」
「映茉は仕事も頑張っているから、結婚のことをなかなか言い出せなかったんだ。黙っていて悪い」
持月くんはご両親の勘違いを否定せず、むしろ流れるように話を合わせる。彼は、演技が得意なのかもしれない。
「映茉さん、祐駕と結婚すると決めたなら、お仕事はお辞めになるのよね?」
不意に名指しで話しかけられ、「はい?」と首を傾げる。すると、向かいに座る持月くんのお母さんが、私にニコリと微笑んだ。
「外交官の妻になるんだもの。海外にもついていくんでしょう?」
「あ……」
そんなこと、これっぽっちも考えていなかった。持月くんも、ドイツには来なくていいと言ってくれた。
けれど、この先の将来はどうなのだろう。私は彼と結婚して、どう生きていくつもりなのだろう。
何も言えないでいると、持月くんが私を庇うように右手を優しく握ってくれた。
「母さん、映茉の仕事のことはまだ決めてないから、口を挟まないで欲しい。俺が春には日本に戻るから、今のタイミングで籍を入れたいだけなんだ」