クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「本当は指輪を贈るべきなんだろうが、サイズが分からなかった。だから、代わりだ」

 持月くんは言いながらネックレスを手に取る。

「着けていいか?」
「うん」

 肩に垂れた髪の毛を持ち上げると、持月くんの手が柔らかく首筋をかすめてゆく。その気配が消えると、私の胸元でそのきらめきが揺れた。

「似合ってる」

 持月くんの大きな手が、私の髪をサラリと撫でる。優しい笑みに、ドキリと胸が鳴った。

「ありがとう」

 恥ずかしくて目を合わせていられず、うつむいた。すると、持月くんの両腕が、後ろから回ってくる。

 え……?

 思わず彼の腕を掴み、その筋肉の多さに男性を意識してしまう。緊張なのかなんなのか、鼓動がありえないくらいに早い。

「なあ、いいか?」

 聞かれ、耳にキスを落とされ。火照りだした思考では何も考えられなくて、私は小さく頷いた。
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