クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 私の中で果てた彼は、まるで作業のように私の中から去ってゆく。

「シャワー浴びてくる」

 え? と、思う間に彼は立ち上がり、シャワールームへ行ってしまった。

 嘘でしょ、ピロートークとかないの?
 初夜だよ、一応……。

 呆然としてしまい、身体が動かない。しばらくして身体を撫でる空調の風に、自分が一糸まとわぬ姿だったことを思い出し、慌てて掛布団を被った。

 そりゃ、こういう行為って、人それぞれだと思う。
 それでも、これはあまりにもあっさりとしすぎじゃない?

 勝手に期待した私が悪いのかもしれない。けれど、流れるシャワーの音を聞きながら、私はどうしても悶々としてしまう。
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