クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「慌ただしくて悪いな。ドイツに戻るまでに、また会えるようにする」

 祐駕くんが元の調子に戻ったので、私も調子を無理やり元に戻した。

「でも私、今日も明日も明後日も仕事だよ?」
「そうか。なら、明後日の仕事終わりに。何時に終わる?」
「五時くらい。大丈夫? 飛行機の時間とか」
「ああ。夜の便だからな。食事でもしよう」

 例え演技だとしても、こうして私に会おうとしてくれる。だから、きっと大丈夫。

「春には日本に戻る。戻ったら、一緒に暮らそうな」
「うん」

 目線を下げれば、胸元には昨夜彼からもらった宝石が輝いている。食事の途中だが、思わずきゅっと握ってしまった。

 顔を上げると、祐駕くんが優しい顔をしている……気がする。
 だから、私も彼に微笑んだ。〝幸せな家族〟の微笑みを。
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