クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
「今日はお疲れ。急病人だったんだろ? なのに十分の遅れで済んだの、本当すげえや」

 旭飛が背後で声をかけてきて、昼間の救護活動のことを言っているのだと、すぐに理解した。

「あれは私じゃなくて、助けてくれた彼のおかげだよ。私は迷子対応中でさ」
「あの長身の、やたら高そうなスーツの男性な」
「うん」
「でも、映茉のことだから迷子対応しながら走ってたんじゃねーの?」
「う……その通りです」
「だから、お疲れ」

 子供を抱きかかえたまま走ったら危ない。そう言われると思ったけれど、旭飛は私の肩にポン、と手を置いた。

「そういうとこ、本当映茉らしい」
「そうかな?」
「そうだよ」

 ニカっと笑いながら、旭飛は私の隣、空いていたデスク椅子に腰かけた。
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