クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際０日な私たちの幸せ演技婚〜

　食事を終えると、私は祐駕くんに手を引かれて、レストランを出た。
　互いの薬指に光るリングが、私たちを繋げてくれる。そう思うけれど、やっぱり寂しい。

　と、思っていると。

「映茉、明日仕事は？」
「休みだよ。三連勤だったから」

　言えば、祐駕くんは「良かった」とこぼす。

「飛行機、明け方の便に変更したんだ。だから」

　祐駕くんは、スーツケースから手を離し、ポケットから取り出したスマホの画面を私に見せる。そこには、このホテルの部屋番号と、『予約完了』の文字が表示されていた。

「もう少し、いいか？」