クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 手を引かれ、ホテルの客室階へ移動した。祐駕くんがスマホを操作すると、部屋の鍵が開く。

 祐駕くんも、寂しいと思ってくれていたのかな。そんな、淡い期待が胸によぎる。

 けれど、期待してもこの間みたいな……と思うと、期待などしちゃいけないと自制心が働く。

 だから、期待はちょっとだけ。
 落ち込まないようにと自分に言い聞かせて、祐駕くんに手を引かれ、部屋の中へ。

「んんっ!」

 突然の出来事に、身体が硬直してしまった。

 祐駕くんは私を唐突に壁に押し付け、唇を塞いできたのだ。
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