クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 祐駕くんは私の服を脱がせながら、私にたくさんのキスを落とす。唇だけでなく、耳、頬、おでこ、鼻、顔中に落とされる唇は、それだけで私の中の熱を駆り立てる。

 やがて祐駕くんの唇は首を伝い、鎖骨に落とされる。同時に、私は優しくベッドに押し倒された。

「ちゃんと、着けてくれてるんだな」

 服は全て脱がされ、何も身に着けていない。けれど、私の首元に煌めくのは、祐駕くんにもらったネックレスだ。

「仕事中も、制服の下にしてるよ? 祐駕くんとの、家族の証だから……んん!」

 祐駕くんの手が、ネックレスのチェーンをなぞる。その感覚はくすぐったいのに、身体はもっとして欲しいとせがむよう。

「そうか」

 祐駕くんは一言そう言うと、私の胸元に唇を落とした。

 なんだか、今日はこの間と違う。
 私、なんだか――愛されてる? でも、何で?

 と思った矢先。チリリと口づけられたところに痛みが走った。

「悪い、痛かったか?」
「ううん、平気……」

 思わず顔をしかめてしまったが、痛みのあった場所を見る。祐駕くんが優しく指でなぞるその場所には、くっきりと赤い痕がついていた。
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