クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 食事中、映茉が寂しそうな顔をするたびに心が跳ねた。ドイツに来るかと提案したら、驚くほどに笑顔になった。その笑みに、心がぐっと掴まれた。

 あの運転士は気に食わないか、映茉は俺の贈ったネックレスを着けていてくれた。指輪を、喜んでくれた。
 それだけで、先程までのイライラも嫌な気持ちも全部、どこかへ吹き飛んでしまう。

 けれど、やはり離れ離れになるのが惜しい。
 それに、俺がドイツへ行っている間も、アイツは映茉と仕事をしてるんだよな。
 
 そう思ったら、ホテルの部屋に入るやいなや、彼女の唇を奪ってしまった。
 ベッドに彼女を押し倒し、肌を暴くと無心で彼女に赤い痕を残した。

 自分がこんなにこらえ性のない男だとは思わなかった。
 大人げないと思ったが、そんな俺を映茉は受け入れてくれる。彼女の心の広さにすら満足して、安堵するなんて、俺はどうかしている。

 何度も果てながら、彼女と身体を重ねる幸せに溺れていると、やがて彼女は寝てしまった。
 その寝顔を見つめながら、どうか離れている間も、俺のものでいてくれと切に願った。
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