クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 彼女はきっとまだ、あの気持ちの良さそうな顔で眠っているのだろう。
 そう思っていると、朝日がゆっくりと水平線から顔を出す。

 俺は彼女が嵌めてくれた薬指の指輪を掲げた。結婚指輪なんて、結婚してるか否かを見極めるためのもの。そう思っていたが、今は、彼女との唯一のつながりを感じられる、大切なものだ。

 どうか、〝幸せな家族〟になれますように。
 ――なれるよな、映茉となら。

 俺は来る新しい朝に、彼女との未来を想った。
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