クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 ミュンヘンの空港内を、祐駕くんに連れられ歩く。

 彼は足早に移動するけれど、私はその雰囲気に周りをきょろきょろと見回した。

「すごいね! さすがミュンヘン!」

 至る所に飾られたクリスマスの飾りは、一ヶ月後のクリスマスを待ちわびるよう。

 空港内の広場のようなところには、小さな屋台が並んでいた。こんなところにもクリスマスマーケットがあるらしい。
 思わずそちらに見惚れてしまうと、祐駕くんは歩くスピードを緩めてくれた。

「クリスマスマーケットの本番は夜だ。ミュンヘン市街地のホテルを予約してあるから、今日は堪能できるぞ」
「ってことは、マリエン広場のクリスマスマーケット!?」
「ああ」
「やった、すごい楽しみ!」

 思わずテンションがあがり、祐駕くんの手をぎゅっと握ってしまう。
 祐駕くんはそんな私に口角を優しく緩めた。

 子供っぽいって思われたよね! 恥ずかしい……。

「でも、まずは映茉の行きたいノイシュバンシュタイン城からな」

 祐駕くんはそう言うと、反動で緩めてしまった私の手をきゅっと握り直してくれる。

「うん」

 私はこくりと頷いたけれど、恥ずかしくて顔を上げることができなくなってしまった。
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