クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 カフェで簡単に昼食を取ると、バスで移動し山の麓へ。バスを降りたところで、一円玉くらいの大きさのノイシュバンシュタイン城が山の上に見えた。

「わあ、本物のお城だぁ!」

 吐く息が白い。それ以上に真っ白に見えるお城に、私のテンションはどんどん上がっていく。
 
 それから、観光用の馬車に乗って移動した。屋根はついているけれど窓のない馬車は風を切り、その風が直に当たるためとても寒い。

 それでもワクワクしていた私は、ずっと木々の向こうにちらちらと覗く白亜のお城にくぎ付けだった。

 おかげで、降りるときには耳が痛いほど冷たくなってしまった。
 耳を両手で包みながら、馬車を降りようとすると、先に馬車を降りていた持月くんが、まるでエスコートするように手を差し出した。
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