クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜
 次の部屋は、とてもとても広い広間だった。私の目を引くのは、天井から吊るされた四つの巨大なシャンデリアだ。

「ここはオペラを公演するために、音響も考えて造られているらしい。城主は一人で楽しむつもりだったようだが」

 豪華絢爛な作りに目を奪われていたが、祐駕くんの説明が引っ掛かる。

「こんなに広いのに、一人で?」
「ああ。彼は孤独王としても有名だからな。だが、俺なら――」

 祐駕くんは突然繋いでいた手を離し、私の前にひざまずく。

「え、ちょっと祐駕くん!?」

 驚く間にも、祐駕くんは私の右手をとり、その甲にキスを落とした。

「一曲踊っていただけますか、プリンセス?」

 え……!? なにこれ、どいうこと!?
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