クールなエリート外交官の独占欲に火がついて 〜交際0日な私たちの幸せ演技婚〜

夫は優しいサンタさん

 やって来たホテルで、祐駕くんは車をバレットに預ける。
 荷物もポーターに預けると、祐駕くんはカウンターでチェックインを済ませてくれた。

 その間、私は足を踏み入れてしまったホテルのロビーで、暖炉のパチパチという温かな音を聞きながら、しきりにキョロキョロと館内を見回していた。

 外観だけでも一目で高級だと分かる老舗ホテル。その窓の外には、ミュンヘン新市庁舎が見えている。

 ということは、マリエン広場はすぐそこ。ミュンヘン新市庁舎の前が、マリエン広場と呼ばれる広場になのだ。
 そしてそこは、ミュンヘンいちの大きなクリスマスマーケットの会場でもある。

 ワクワクしながら窓の外の市庁舎を眺めていると、不意に祐駕くんに声を掛けらた。

「クリスマスマーケットもいいけど、まずは部屋、な」

 その言葉に、恥ずかしくなる。
 どれだけ楽しみにしてるんだ、私。
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