《番外編》愛し愛され愛を知る。
初めて抱いた感情
※ 本編《優しくしてくれるのはどうして?》の理仁sideです。



 真彩と悠真が屋敷に住むようになってから暫く、ようやく抱えていた仕事が一段落した事もあって俺はふと思う事があった。

(そう言えば、真彩たちはあまり荷物を持たないでここへ来たんだよな……服も同じのを着回しているようだし、買い物に連れて行ってやらなきゃならねーか)

 それは二人があまり荷物を持ってこなかった事。

 ホテル住まいだった事もあり、荷物は最小限だったのも頷けるが、いつまでもあり物だけでやりくりするのは不便だろう。

 思い立った俺は朔や翔を連れてショッピングモールにでも行こうと部屋を出た。

 すると、何やら廊下が騒がしい。

 朔や悠真、それから真彩の声も聞こえてくる。

 俺がその声がする方へ歩いて行くと、曲がり角を曲がったところで走って来た悠真にぶつかりかけ、寸前で止める事が出来た。

「おっと、走ると危ねぇぞ。悠真、一体何持ってんだ?」

 悠真が大切そうに何かを抱えていたのだが俺にぶつかりかけた時に落としてしまい、それを拾い上げてみると、落ちた《《それ》》は明らかに子供が手にして良いような物では無く、呆れ果てて思わず「…………はぁ」と大きな溜め息が口から出てきていた。

 そして、朔を睨みつけながら、

「朔、お前の趣味をとやかく言うつもりはねぇが、これは明らかに子供(ガキ)に見せるようなモンじゃねぇよな? 万が一、悠真が自分でプレイヤーに入れて目にしたらどうするつもりだ? 教育にも悪いだろうが。入れ物変えたくらいで気を抜くな。こういうのは手が届かない所にしまっておけ」

 今後こういう事が無いよう叱りつけると肩を落として項垂れていた。

 けどまあ、この出来事は悠真にとって遊べる物が少ないから色々なものに興味を示しているのだろう事が容易に想像出来た。
< 10 / 17 >

この作品をシェア

pagetop