《番外編》愛し愛され愛を知る。
(この屋敷には、子供が遊べる玩具なんてねぇからな……)

 尚更急いで買い物に行く必要があると判断した俺は朔に、

「それより、これから出掛けるから車を出してくれ」

 車を準備するよう言いつけると、朔は早々にその場を後にした。

「真彩、悠真、出掛けるから支度をしろ」
「私たちも、ですか?」
「ああ。今日は仕事じゃない。お前たちの買い物だ。遅くなったが、必要な物を買い揃えよう」
「そんな、今ある物で十分です! 家具や家電などはお屋敷にある物を使わせてもらってますし……」
「そうもいかねぇだろ? 服だってそう数はねぇだろうし、それに、悠真には遊び道具が必要なんじゃねぇか?」
「そ、それは……」
「悠真、玩具欲しくないか?」

 渋る真彩をよそに、俺は悠真に向かうと、屈んで話し掛けた。

「おもちゃ、ほしい」
「なら出かけた時に買ってやるからな」
「ほんと?」
「ああ」
「わーい!」

 俺の事はまだ慣れていないのか、近寄ると少し萎縮する悠真だが、オモチャを買ってもらえると分かると笑顔を見せ、俺の前という事も忘れて喜び始めた。

「ゆ、悠真……」
「真彩、早く準備して来い。車で待ってる」
「すみません、ありがとうございます。すぐに支度をして行きます。悠真、準備するよ」
「はーい!」

 未だ困り顔の真彩だったが悠真の喜ぶ様子を見ると断る事が出来ないのだろう。結局真彩が折れる形で出掛ける事になり、支度を整える為に悠真と共に自室へ戻って行った。



 自宅から車で約一時間、市街にある大型ショッピングモールに辿り着く。

 同行者は朔と翔の二人で、俺たちから少し離れつつも何かあればすぐに対応出来る距離を保ちながら付いて回る。
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