《番外編》愛し愛され愛を知る。

「何処から見るんだ？」
「おもちゃ！」
「そうか、ならまずは玩具屋……三階のようだ」
「はやく、はやく！」
「ちょ、悠真、走ったら危ないよ？」
「あれ？ さくは？」
「朔太郎くんはお仕事中だから……」
「さく、いた！ さーくー！おんぶして！」

　悠真はとにかく朔の事を気に入っていて、車では一緒だったのに店に入るなり姿が見えなくなった事を気にしていたようだが、離れた所に控えていた朔を見つけるなり一目散に走り出す。

「見つかっちまった……。すいません、理仁さん」
「さく！ おんぶ！」
「いいから、悠真の好きにさせてやれ」
「分かりました！ ほら悠真、乗っていいぞ」
「わーい！」

　そんな訳で結局五人で見て回る事になったのだが、威圧感のある俺や翔、朔が固まって歩いていると周りが自然と離れていくのを感じ取る。

(これじゃあ真彩も落ち着いて見れねぇよな……)

　それなら俺と真彩、朔と翔と悠真に別れる方が効率が良いのではと思い、

「朔、翔、お前ら二人に悠真の事を頼む。欲しいと言う物は何でも買ってやれ」
「そんな！ 一つで十分ですから……」
「遠慮なんてしなくていい。子供の玩具くらい大した額じゃねぇんだから。頼んだぞ、二人共」
「了解ッス！」
「分かりました……それで、兄貴たちは？」
「俺は真彩と他の物を見て回る。二時間後、駐車場で落ち合おう」

　二手に別れて買い物を済ます事に決めた。



「真彩、何から見るんだ？」
「え、えっと……それじゃあ、悠真の服を見たいので子供服売り場に行っても良いですか？」
「ああ」

　玩具を買って貰える事が余程嬉しいのか、悠真は真彩と別行動になる事を悲しみもせず笑顔で朔たちと売り場へ向かって行き、それを見送り二階へ降りて来た俺たちは悠真の服を見る為に子供服売り場へと歩いて行く。