《番外編》愛し愛され愛を知る。
「そうですか、翔太郎くんが」
仕事を片付けて寝室にしている部屋へ戻った俺は、真彩に先程の話をした。
「由恵さんって、まだ大学生でしたよね?」
「ああ、今年二十歳になったばかりだな」
「翔太郎くんとは七歳離れているんですね」
「そうだな。けどまぁ翔は面倒見もいいし、朔と違って口数は少ねぇが、名鳥の嬢ちゃんもどちらかと言えば大人しめの性格だから、合うのかもしれねぇな」
「上手くいくといいですね」
「そうだな。俺としても、翔の事はずっと気掛かりだった。浮いた話も無けりゃ、アイツは寝ても覚めても組の事を考えて一生懸命で、少しくらい他の事にも目を向けるべきだと思っていたから」
「ふふ」
「何だ?」
「いえ、理仁さんは本当に翔太郎くんや朔太郎くんを大切に思っているんだなって」
「そうだな、家族のように寝起きを共にして、兄弟のように思ってるから、やはりアイツらには幸せになってもらいたい」
「朔太郎くんにも、可愛い彼女がいますものね」
「アイツはまあ、そこまで心配してない。ただ、相手が高校生ってのが少しな……」
「そうですね。でも、朔太郎くんならきっと大丈夫だと思います。だからこそ、翔太郎くんにも幸せになって欲しいです」
「大丈夫さ、ゆっくりだろうけど、幸せを掴むはずだ」
俺は真彩と出逢う前、恋愛をする事は無いと思ってた。
組長をやっていく上で、愛する者を作る事も、家族を作る事も、邪魔にしかならないとさえ思っていた。
けど、今は違う。
大切な者が出来ると、一人の時には無かった感情が生まれるものだ。
一人ならば、いつ失っても構わないと思っていた命も、愛する者が出来ると変わる。
悲しませたくないし、一分一秒でも長く同じ時間を過ごしたいと思うようになるから。
だから、朔太郎や翔太郎にも、そういう人を見つけて幸せを掴んで、これまで以上に生き甲斐を持って毎日を過ごして欲しいと思った。
―完―
仕事を片付けて寝室にしている部屋へ戻った俺は、真彩に先程の話をした。
「由恵さんって、まだ大学生でしたよね?」
「ああ、今年二十歳になったばかりだな」
「翔太郎くんとは七歳離れているんですね」
「そうだな。けどまぁ翔は面倒見もいいし、朔と違って口数は少ねぇが、名鳥の嬢ちゃんもどちらかと言えば大人しめの性格だから、合うのかもしれねぇな」
「上手くいくといいですね」
「そうだな。俺としても、翔の事はずっと気掛かりだった。浮いた話も無けりゃ、アイツは寝ても覚めても組の事を考えて一生懸命で、少しくらい他の事にも目を向けるべきだと思っていたから」
「ふふ」
「何だ?」
「いえ、理仁さんは本当に翔太郎くんや朔太郎くんを大切に思っているんだなって」
「そうだな、家族のように寝起きを共にして、兄弟のように思ってるから、やはりアイツらには幸せになってもらいたい」
「朔太郎くんにも、可愛い彼女がいますものね」
「アイツはまあ、そこまで心配してない。ただ、相手が高校生ってのが少しな……」
「そうですね。でも、朔太郎くんならきっと大丈夫だと思います。だからこそ、翔太郎くんにも幸せになって欲しいです」
「大丈夫さ、ゆっくりだろうけど、幸せを掴むはずだ」
俺は真彩と出逢う前、恋愛をする事は無いと思ってた。
組長をやっていく上で、愛する者を作る事も、家族を作る事も、邪魔にしかならないとさえ思っていた。
けど、今は違う。
大切な者が出来ると、一人の時には無かった感情が生まれるものだ。
一人ならば、いつ失っても構わないと思っていた命も、愛する者が出来ると変わる。
悲しませたくないし、一分一秒でも長く同じ時間を過ごしたいと思うようになるから。
だから、朔太郎や翔太郎にも、そういう人を見つけて幸せを掴んで、これまで以上に生き甲斐を持って毎日を過ごして欲しいと思った。
―完―