俺様レーサーは冷然たる彼女に愛を乞う
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4月7日日曜日、日本GP3日目の午前中。
14時からの決勝に備え、最終ミーティングが行われた。
「おい、瑛弦」
「……んだよ」
「俺の女神を泣かせたら、パウチ(車内ドリンク)にハバネロジュース仕込むぞ」
「ぁあ?」
パドック(サーキット場の敷地内あるチームの拠点)には各チームのトランスポーターとホスピタリティを行うモーターホーム『F1村』が出現する。
『Blitz』のトランスも軒を連ね、多くの一般来場者が行き交う中、チームスタッフに囲まれている羽禾を視界に捉えた。
「あいつから聞いたのか?」
「見てたら分かるよ」
「……フゥ~ン」
羽禾が瑛弦を好きなことは知っていたが、羽禾の表情が垢抜けたことで基は気付いていた。
「こんな不愛想な男の、何がいいのかね~?」
「そりゃあ、このルックスとテクだろ」
「あ゛ぁぁぁ~、やーだーねー下品な奴は」
「お前だって似たようなもんだろ」
「ってか、もう手出したのかよっ」
「……」
「マジで信じらんねぇ」
「……何とでも言え」
昔から周りをよく見ている基。
瑛弦のこともチームメイトのことも何でも把握していて、普段はおちゃらけているけれど、統率力はずば抜けている。
基は半月ほど前から瑛弦と羽禾が付き合い始めたと思っているため、瑛弦は何て返していいのか迷った。
「加賀谷さーん、レース前のコメント(チーム側のアピール)、お願い出来ますか~?」
「羽禾ちゃぁぁあ~~んっ!浄化浄~~化っっ!」
「え、きゃっ…」
「基っ、てめぇ、パルクフェルメ違反だっつーの」
羽禾に抱きつく基を必死に剥がす瑛弦。
(パルクフェルメとは、レース前にマシンを改造したり接触を禁止するルールのこと)
4月7日日曜日、日本GP3日目の午前中。
14時からの決勝に備え、最終ミーティングが行われた。
「おい、瑛弦」
「……んだよ」
「俺の女神を泣かせたら、パウチ(車内ドリンク)にハバネロジュース仕込むぞ」
「ぁあ?」
パドック(サーキット場の敷地内あるチームの拠点)には各チームのトランスポーターとホスピタリティを行うモーターホーム『F1村』が出現する。
『Blitz』のトランスも軒を連ね、多くの一般来場者が行き交う中、チームスタッフに囲まれている羽禾を視界に捉えた。
「あいつから聞いたのか?」
「見てたら分かるよ」
「……フゥ~ン」
羽禾が瑛弦を好きなことは知っていたが、羽禾の表情が垢抜けたことで基は気付いていた。
「こんな不愛想な男の、何がいいのかね~?」
「そりゃあ、このルックスとテクだろ」
「あ゛ぁぁぁ~、やーだーねー下品な奴は」
「お前だって似たようなもんだろ」
「ってか、もう手出したのかよっ」
「……」
「マジで信じらんねぇ」
「……何とでも言え」
昔から周りをよく見ている基。
瑛弦のこともチームメイトのことも何でも把握していて、普段はおちゃらけているけれど、統率力はずば抜けている。
基は半月ほど前から瑛弦と羽禾が付き合い始めたと思っているため、瑛弦は何て返していいのか迷った。
「加賀谷さーん、レース前のコメント(チーム側のアピール)、お願い出来ますか~?」
「羽禾ちゃぁぁあ~~んっ!浄化浄~~化っっ!」
「え、きゃっ…」
「基っ、てめぇ、パルクフェルメ違反だっつーの」
羽禾に抱きつく基を必死に剥がす瑛弦。
(パルクフェルメとは、レース前にマシンを改造したり接触を禁止するルールのこと)