俺様レーサーは冷然たる彼女に愛を乞う
*
「瑛弦、今日は本当にすまなかった」
「……マジでハバネロ仕込まれたかと思っただろ」
「さすがに、個人的なことでチームの足を引っ張るようなことはしないよ」
日本GPを8位で終えた瑛弦。
大会後にクルーと反省会をして、ホテルへ戻るために荷物の片付けをしながら、基と会話する。
チーフという責任がある基は、真摯にミスを反省していた。
「そう言えば、おばさんの具合どうだった?」
「元気にしてたよ」
「……そうか」
父親に連れられ、基も何度も施設を訪れたことがある。
実の兄弟みたいにして育った2人は、沢山の喧嘩をして信頼を築いて来た。
「彼女のどんな所が好きなんだ?」
「何だよ、唐突に。……好き?どこだろ」
瑛弦は真顔で考えを巡らす。
「まさかとか思うけど、好きでもないのに付き合ってるとか言わないよな?」
「……好きなんじゃねーの?よくわかんねーけど」
「はぁ?……おいおいおいおい、本気で言ってんのかよ。ぶん殴るぞ」
他人のことを言えた義理ではないが、瑛弦が今まで『彼女』と呼べる存在をつくって来なかったことを知っている基。
もちろんその理由も知っているし、それに関して口を出したことなど一度もない。
「一見クールに見えるけど、熱い心を持ってたりするし。他人行儀なところもあるけど、気を遣いすぎるところもあるし。何より、愚痴を零したり弱音を吐いたりしない子だから、誰よりも心根が優しくて脆いところもある」
「何で基がそんなことまで知ってんだよ」
「俺を誰だと思ってんだよ。このチームを纏めるの、お前が思ってる以上にヘビーだかんな」
「瑛弦、今日は本当にすまなかった」
「……マジでハバネロ仕込まれたかと思っただろ」
「さすがに、個人的なことでチームの足を引っ張るようなことはしないよ」
日本GPを8位で終えた瑛弦。
大会後にクルーと反省会をして、ホテルへ戻るために荷物の片付けをしながら、基と会話する。
チーフという責任がある基は、真摯にミスを反省していた。
「そう言えば、おばさんの具合どうだった?」
「元気にしてたよ」
「……そうか」
父親に連れられ、基も何度も施設を訪れたことがある。
実の兄弟みたいにして育った2人は、沢山の喧嘩をして信頼を築いて来た。
「彼女のどんな所が好きなんだ?」
「何だよ、唐突に。……好き?どこだろ」
瑛弦は真顔で考えを巡らす。
「まさかとか思うけど、好きでもないのに付き合ってるとか言わないよな?」
「……好きなんじゃねーの?よくわかんねーけど」
「はぁ?……おいおいおいおい、本気で言ってんのかよ。ぶん殴るぞ」
他人のことを言えた義理ではないが、瑛弦が今まで『彼女』と呼べる存在をつくって来なかったことを知っている基。
もちろんその理由も知っているし、それに関して口を出したことなど一度もない。
「一見クールに見えるけど、熱い心を持ってたりするし。他人行儀なところもあるけど、気を遣いすぎるところもあるし。何より、愚痴を零したり弱音を吐いたりしない子だから、誰よりも心根が優しくて脆いところもある」
「何で基がそんなことまで知ってんだよ」
「俺を誰だと思ってんだよ。このチームを纏めるの、お前が思ってる以上にヘビーだかんな」