俺様レーサーは冷然たる彼女に愛を乞う
*
「なぁ」
「……はい?」
「何で敬語なん?」
「……つい」
「ドバイの夜は、上から目線だったのに」
「っっ……あれは…」
「フフッ、冗談。けど、いい加減タメ口で話せよ。1つしか違わないんだから」
「……ん」
腕の中にすっぽりとおさまる羽禾。
元々線の細い彼女が、最近さらに細くなった気がする。
「実家に帰ったら、思いっきり父親に甘えて来い」
「へ?」
瑛弦の言葉が意外だったのか、羽禾は視線を持ち上げた。
「当たり前のように今日も抱いたけどさ、体調が悪い時は無理すんな。ちゃんと拒否れよ」
「……拒否してもいいんですか?」
「お前、馬鹿だろ。拒否られたからって、お前のこと無視したりしないし、俺のこと、もう少し信用しろよ」
「……ん」
今まで同じ女を二度抱いたことがない。
その場限りの相手に、未来を重ねたことが一度もなかった。
けれど、今は……。
母親が父親に執着している気持ちが何となく分かる。
今だけでなく。
明日、来週、来月……。
自分の隣りにこの女がいる姿が何となく想像できる気がするから。
「羽禾の誕生日いつ?」
「……6月16日」
「…………ん?……はぁ?何で言わなかったんだよっ!過ぎてんじゃん!!」
「だって、聞かれなかったから」
「お前、ホントに馬鹿だな。普通、誕生日くらい強請るもんだろっ」
「……」
1カ月も誕生日が過ぎてることに衝撃を受けた瑛弦。
つくづく周りにいる奴らと違うことに改めて気づかされる。
「欲しいものとか、行きたい場所とか考えとけ」
「……別にいいのに」
「よかねーよっ」
「フフッ」
「笑いごとじゃねーぞ」
「だって、もう貰ったもの」
「あ?」
「『彼女』の特別座席」
「っ……その口塞ぐぞ」
「なぁ」
「……はい?」
「何で敬語なん?」
「……つい」
「ドバイの夜は、上から目線だったのに」
「っっ……あれは…」
「フフッ、冗談。けど、いい加減タメ口で話せよ。1つしか違わないんだから」
「……ん」
腕の中にすっぽりとおさまる羽禾。
元々線の細い彼女が、最近さらに細くなった気がする。
「実家に帰ったら、思いっきり父親に甘えて来い」
「へ?」
瑛弦の言葉が意外だったのか、羽禾は視線を持ち上げた。
「当たり前のように今日も抱いたけどさ、体調が悪い時は無理すんな。ちゃんと拒否れよ」
「……拒否してもいいんですか?」
「お前、馬鹿だろ。拒否られたからって、お前のこと無視したりしないし、俺のこと、もう少し信用しろよ」
「……ん」
今まで同じ女を二度抱いたことがない。
その場限りの相手に、未来を重ねたことが一度もなかった。
けれど、今は……。
母親が父親に執着している気持ちが何となく分かる。
今だけでなく。
明日、来週、来月……。
自分の隣りにこの女がいる姿が何となく想像できる気がするから。
「羽禾の誕生日いつ?」
「……6月16日」
「…………ん?……はぁ?何で言わなかったんだよっ!過ぎてんじゃん!!」
「だって、聞かれなかったから」
「お前、ホントに馬鹿だな。普通、誕生日くらい強請るもんだろっ」
「……」
1カ月も誕生日が過ぎてることに衝撃を受けた瑛弦。
つくづく周りにいる奴らと違うことに改めて気づかされる。
「欲しいものとか、行きたい場所とか考えとけ」
「……別にいいのに」
「よかねーよっ」
「フフッ」
「笑いごとじゃねーぞ」
「だって、もう貰ったもの」
「あ?」
「『彼女』の特別座席」
「っ……その口塞ぐぞ」