俺様レーサーは冷然たる彼女に愛を乞う
*
局に出社した羽禾は、気持ちの整理をはかりながらアナウンス部へと向かう。
西野から未だに退職していないと聞かされているため、清香と顔を合わせないようにしたいからだ。
それと、できることなら土屋専務とも会いたくない。
「野口部長、お疲れ様です」
「おっ、来たか」
夕方からの報道番組に使う資料に目を通していた野口に声をかけた。
「6月に受けた健康診断の結果が出ててな、これなんだが…」
「……何か、問題が?」
「俺は毎年コレステロール値が高いからまぁ仕方ないが」
手渡された『健康診断結果報告書』を開くと、幾つかの項目にC判定があった。
「部長、この再検査って…」
「電話を入れればすぐ診てくれるらしい」
「……分かりました」
「ちゃんと寝れてるか?」
「少し前に安定剤を処方して貰ったので、それで何とか寝れてます」
「そうか。西野も最初の頃はかなり不眠症だったし、こればかりは出張病だな」
「……はい」
羽禾は用紙の下部に記載してある都立江南病院の検査センターに電話を入れた。
**
「では、お小水を取り終わりましたら、奥の処置室の前でお待ち下さい」
「はい」
再検査のために訪れた江南病院。
外来とは別に検査センターがあり、日本に滞在できる時間が限られている旨を伝えてあるため、スムーズに案内された。
処置室で問診、身長、体重、血圧、採血などが行われ、再び廊下の長椅子で待つ。
「笹森さん、1番の診察室にどうぞ」
「はい」
局に出社した羽禾は、気持ちの整理をはかりながらアナウンス部へと向かう。
西野から未だに退職していないと聞かされているため、清香と顔を合わせないようにしたいからだ。
それと、できることなら土屋専務とも会いたくない。
「野口部長、お疲れ様です」
「おっ、来たか」
夕方からの報道番組に使う資料に目を通していた野口に声をかけた。
「6月に受けた健康診断の結果が出ててな、これなんだが…」
「……何か、問題が?」
「俺は毎年コレステロール値が高いからまぁ仕方ないが」
手渡された『健康診断結果報告書』を開くと、幾つかの項目にC判定があった。
「部長、この再検査って…」
「電話を入れればすぐ診てくれるらしい」
「……分かりました」
「ちゃんと寝れてるか?」
「少し前に安定剤を処方して貰ったので、それで何とか寝れてます」
「そうか。西野も最初の頃はかなり不眠症だったし、こればかりは出張病だな」
「……はい」
羽禾は用紙の下部に記載してある都立江南病院の検査センターに電話を入れた。
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「では、お小水を取り終わりましたら、奥の処置室の前でお待ち下さい」
「はい」
再検査のために訪れた江南病院。
外来とは別に検査センターがあり、日本に滞在できる時間が限られている旨を伝えてあるため、スムーズに案内された。
処置室で問診、身長、体重、血圧、採血などが行われ、再び廊下の長椅子で待つ。
「笹森さん、1番の診察室にどうぞ」
「はい」