俺様レーサーは冷然たる彼女に愛を乞う

 検査センターのフロアの奥に、外来病棟と繋がる通路があり、その先に幾つもの検査室がある。

「あの……、何か深刻な病気なんでしょうか?」
「ごめんなさいね、いきなりでビックリしますよね。所見は医師が下すので私では分からないですが、何もないことを知るための検査でもありますから」
「……はい」

 羽禾は、MRI室と書かれた検査室に案内された。

 日本に滞在していられるのは2日間だけ。
 だから、今検査しておかなければ、次はいつ検査できるか分からない。

「ごめんなさいね。このメイクを落としを使ってすっぴんになって貰っても宜しいでしょうか?」
「……はい」
「コンタクトはしてますか?」
「はい」
「では、それもお取り頂いて、ピアスも外した状態でこちらの服に着替えて下さい」
「はい」
「準備が整いましたら、こちらのボタンを押して下さいね」
「分かりました」

 通常なら事前に検査の説明があるだろうが、急遽検査となった羽禾は言われた通りにする以外に術はない。

 初めて受けるMRI検査。
 突然のことで気持ちと頭がついて行かない。



 検査自体は30分程度で、薄暗い部屋でじっと動かずに寝ているだけだった。
 これで何が分かるのだろうか?

 不安に押し潰されそうになっている羽禾は、着て来た服に着替え、看護師の案内で再び検査センターの診察室の前の長椅子で待つ。

「笹森さん、1番診察室へどうぞ」

 跳ね上がる心臓に手を当て、羽禾は腰を上げた。
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