俺様レーサーは冷然たる彼女に愛を乞う

 気休めに言ってくれているのだと分かる。
けれど、自宅で身支度しながらだとか、通勤中にスマホでチェックくらいできたはず。
それができないくらい、茫然自失としていたのだと改めて実感した。

「気象情報を確認します」

 羽禾は『Earth(アース) ウェザー』(気象予報専門の組織)にすぐさま問い合わせた。
 羽禾が担当している朝の情報番組『ベスモニ』でも、毎日『Earth ウェザー』から気象予報士が派遣され、最新の気象予報の情報が提供されている。

 幸いにも、工藤が言うように余震に繋がるような地震ではなく、被害もないという。
 『Earth ウェザー』は気象業務法により気象庁長官の許可を受けた、日本の気象予報会社(予報業務許可事業者)で、24時間365日気象予報士が待機しており、独自にLive配信などもしていて、絶大な信頼感がある。

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「本番5秒前、4、3、(2)、(1)…(0/キュ)」

 フロアディレクターがカウントダウンし、午前5時に生放送が開始された。

「おはようございます。11月7日木曜日のベスト・モーニングです。昨日は穏やかな日差しに恵まれ、比較的過ごしやすかったのですが、今日は北風が強く、体感的に寒い一日になりそうです。どうぞ暖かくしてお過ごし下さい。それでは元気よく朝の列島中継を……高知テレビの野上(のがみ)さん」

 オープニングの曲が流れる中、羽禾とベテランアナウンサー重田(しげた) 鉄也(てつや)(37歳)が挨拶し、各地の天気予報やピックアップのエンタメ情報に切り替わった。
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