俺様レーサーは冷然たる彼女に愛を乞う

「来月帰国する日程に合わせて、合コンセッティングしようか?」
「え?」
「4月は出会いの季節だしさ、新しい恋をするのはもってこいじゃない」
「……」
「うちの会社の先輩にもオススメな人いるし、最近仲良くなった取引先の人からも合コンしようって言われてるんだよね」
「それは芙実目当ての合コンの申し出でしょ」
「何言ってんの。合コンって1対1じゃないんだから、変な気遣わないの」

 元彼と別れて4カ月。
 あっという間に新しい季節が訪れようとしている。

 芙実は大手シューズメーカーに勤務していて、現在彼氏募集中。
 スポーツが得意な体育会系の男性が好みで、『サッカー選手と結婚したい』が口癖。

 有名アスリートモデルの商品も開発していて、いつか運命の出会いがあるんじゃないか……と密かに思ってるような子だ。

「あっ、そうだ!パパりんのお誕生日プレゼント、今年はパジャマにしない?お洒落なパジャマ、見つけたんだぁ♪」
「あぁーっ、忘れてた!もうそんな時期か」
「実の娘が忘れるとか、パパりん知ったら号泣もんだよ」
「あはは、そこは秘密にしといて」

 一人娘の大親友ということもあって、芙実のことは私と同じくらい大事にしてくれている。
 
 高校の合格祝いも、大学に入学する時も、勿論就職が決まった時も。
 人生の節目の時は、芙実も一緒に過ごして来た。

 『パパりん』と呼ぶほど仲がよくて、学生の頃はよく泊りに来たほどだ。

 芙実が自身のノートパソコンを起動させ、お気に入りに入れておいたお目当てのパジャマを呼び出そうとした、その時。

「これって……羽禾がお世話になってるチームの人じゃない?」
「ん?」
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