偽装告白から始まる悪徳外交官の溺愛
「その顔は、やはりそうだな」
 皮肉な笑みを浮かべ、朱鳥を見下ろす。

「なにが目的だ?」
「なにって、ス……」
 スクープがほしかった。そんなこと言えるわけない。

「好きだから!」
 とっさにそう言ってしまった。

「へえ?」
「迷子を保護して優しいな、って」
 恭匡は皮肉な笑みを浮かべたまま朱鳥を見る。

「じゃあ俺とつきあってよ」
「は?」
「好きなんだろ?」
「……はい」
「じゃ、OKだよな」
「……はい」

 朱鳥が目をそらすと、その頬に手を伸ばす。撫でるようにして顎に手をやり、朱鳥の顔を上向かせる。

 キスされる!?
 とっさによけるが、恭匡はまた手を伸ばす。
「恋人なら、いいだろ?」
 朱鳥は言葉につまる。
 結局、彼に顔を向けてぎゅっと目を閉じた。
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