【書籍化】偽装告白から始まる悪徳外交官の溺愛

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 朱鳥がアップした動画は、出勤した勝則によって削除された。
「なんてことしてくれたんだ!」
 みんなの前で怒鳴りつけられる。

「冤罪を産むのは許されません」
「川俣は『?』をつけてアップしただろうが!」
「みんな誘拐未遂だと勘違いして、外交官本人にも迷惑がかかってます!」
「お前、あの男に惚れたのか?」
 訝し気に言われ、頬がひきつった。

「イケメンだもんなあ。恩を売って付き合おうってか?」
「違います!」
「インタビューとってこいよ。今どんな気持ちですか、ってな!」
 なんていう人だろう。下衆な人だとは思っていたが。

 勝則は青ざめた朱鳥を見て鼻で笑う。
「お前は炎上を煽っただけだぞ。おかげで大炎上だ」

 庇おうとしたのに。
 朱鳥はなにも言い返せない。

「さっきから抗議の電話がすごいんですけど! みんなも出てくださいよ!」
 凛子が文句を言う。気が付けばいくつもの電話の音がフロアに鳴り響いていた。

「俺は上と今後の方針を話し合う。契約更新はないと思えよ」
「わかってます」
 朱鳥は悔しく思いながらうつむいた。
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