【書籍化】偽装告白から始まる悪徳外交官の溺愛
朱鳥の動画は削除されたが、見知らぬ誰かがコピーをとっていて、ネットに上がり続けた。
検証動画も作られ、ネットはさらに盛り上がった。
テレビ局にも認知され、午後のワイドショーでは「こんな動画が」と紹介されていた。
会社の電話は鳴りやまない。
ゴシップ誌だからってなんでもありじゃないだろ。
真実はどうなんだ。きっちり取材しろや。
そば五人前、大至急。え、出版社? 知らねーよ! あははは!
悪人の味方しやがって。火を付けてやる!
抗議に混じり、いたずら電話も脅迫もある。
朱鳥は電話を取り、必死に説明した。迷子を保護したのが真実です、と。
「ああ!? 本当に?」
凛子が急に声を上げた。
気になってそちらを見る。
彼女は電話を受けながらノートパソコンを操作している。
「はい、はい……。あ、見れました。……うわお」
様子が今までと違うので、電話対応がおろそかになってしまった。
『あんた、聞いてんのかよ!』
「すみません、急用です」
『は? おい!』
かまわず電話を切り、通話を終えた凛子の横に行く。
「なにかあったの?」
「見てくださいよ」