瀬渕さんは、総務部長を愛したい。
「何!?」
叫び声が聞こえるのはおかしくない?
箒とちりとりを取りに行っただけだよね…!?
「ちょ、ちょっと…見てきます!!」
「分かった、よろしくね」
あーあ……。
部長ともう少し話したかったのに…!
そんなことを思いながら倉庫に向かうと、棚に置いてあったはずの物が全部床に落ちていた。
「ど、どういうこと!?」
「す、すみません…瀬渕さん!!! 箒を手に取ったら棚に当たってしまいまして!! 中身が全部落ちてしまいました…!!!」
「……」
そんなことある?
凄くない?
最早才能じゃない?
「……」
泣いている渡邊さん。
…最近思うけれど、この子はミスが多いと言うか…ただのドジっ子なのでは!?
「瀬渕さん…ごめんなさい…ごめんなさい…」
「もう良いから、泣かないで。早く片付けよう」
「ごめんなさい~…」
幸い棚の中に割れ物は無かった。
落ちた物を棚に戻すだけで作業は完了する。
「………はぁ」
とは言え、しんどい。
渡邊さん…。
今後もずっとこんな感じだと…困るんだけど…。
そんなことを思いながら、後輩がやらかした現場の後片付けに勤しんだ。