瀬渕さんは、総務部長を愛したい。
数分後、部長は猫背気味にコンビニから出てきた。
少しだけ青ざめた顔色をしている部長の元に駆け寄り、再び肩を貸す。
「部長、大丈夫ですか? …飲むペースが早すぎだったんですよ」
部長がトイレに籠っている間に水を買った。
ペットボトルのキャップを開けて差し出し飲ませる。
しかし、上手く飲めない部長。
口から水が滴り……妙な色気が…………。
「ぶ、部長!! 自分で持って飲んで下さい!!」
「……瀬渕さん、飲めない…」
「…………」
「飲ませて、口移しで…」
「はぁ!?」
本当にこの酔っ払いは…!!!!
部長の潤んだ瞳に体が震える。
そんな目で、そんなこと言って…私を困らせないで…!!!
「……っ」
震えが止まらない自分の体を根性で捻じ伏せて、ペットボトルのキャップを閉めた。
そして部長の腕を私の肩で安定させて、再度歩き始める。
「……瀬渕さん、飲ませてくれないの?」
「あとで。あとですっ!!!! もう、バカ!! 部長の酔っ払い!!」
「…瀬渕さん、好き」
「えっ?」
「あとで、飲ませてくれるんだ…」
「…………」
あぁぁぁ、もう!!!
唇を噛んで感情を抑える。
横でそっと微笑んでいる部長の腰を空いている手で支えながら、足早に部長の家に向かった。