瀬渕さんは、総務部長を愛したい。
部長の家は高層マンションの10階。
部屋に入るなり崩れ落ちた部長を、どうにか引っ張ってリビングにまで連れて行く。
「部長!! せめてソファまで!!」
「………」
一点を見つめたまま無言の部長…。
どうにかソファに辿り着くと、部長は私を押し倒して上に覆い被さった。
………なんで、そうなる?
「ぶ…部長ぉぉ!!! ちょ…何して…」
「瀬渕さん、 ありがとう」
「え」
「ありがとう、ありがとう…」
そう言いながら唇を重ね、啄むようなキスを繰り返す。
「ちょ…部長……部長…!」
「…嫌?」
「………」
「瀬渕さん…嫌かな…」
「………」
嫌なわけがない。
大体、最初に誘ったのも…私だし。
「……」
無言で首を振り、部長に微笑む。
ただ…。
ただ…………。
ちょっと…一応…。
手を洗って、口をゆすいで来て貰っても良いですかね!?