名門の魔法学校を首席で卒業した私、「女のくせに生意気だ」という理由で婚約破棄される〜代わりにもらってくれたのは、入学からずっと首席争いをしていた次席のライバル王子でした〜
周りからの視線を集めているその人は、ソイル王国の次期国王筆頭候補――第一王子セージ・マリナードである。
第一王子とその弟の第二王子が同じ場所に立ったことで、周囲の人々の視線が一気に殺到した。
それを意にも介さず、二人は話を始める。
「来ていただけたのですね、セージ兄様。遠征任務の方は?」
「無事に終わらせてさっき帰ってきたんだ。ギリギリ祝賀会に間に合ってよかったよ」
セージは近くを通りかかったパーティースタッフから、ワイングラスをもらうと、それを一息に飲み干して気持ちのいい息を吐き出した。
彼は第一王子として、王国軍で師団長を務めている。
そして二ヶ月前から師団を率いて遠征任務へと出ていた。
任務終了までの目処は立っていなかったが、そんなセージにも祝賀会のことを手紙にて伝えてあった。
なんとか間に合わせてくれたらしく、疲れの色を見せるセージにディルは静かに感謝する。
ディルは王国軍で術師序列一位に君臨する兄のセージを、魔術師として尊敬している。
だけでなく、大らかな性格ゆえの厚い人望と、優れた統率力で師団をまとめ上げているセージを、名将の手本としても見ていた。
幼い頃、ディルは突出した才覚ゆえに周りに傲慢な態度をとっていたけれど、兄に対してだけは強く出られずむしろ尊敬の眼差しを向けていた。
そんなセージにだけは婚約者発表の件も伝えてあり、その瞬間を見届けてもらおうと思って招待の手紙を送った。
そしてディルは、さっそく婚約者のローズマリーを紹介しようとする。
「それでセージ兄様、僕の婚約者のことなんですけど……」
「あぁ、あの青ドレスの子だろ」
「……?」
ローズマリーのことを伝えるより先に、セージは彼女に視線を向けていた。
第一王子とその弟の第二王子が同じ場所に立ったことで、周囲の人々の視線が一気に殺到した。
それを意にも介さず、二人は話を始める。
「来ていただけたのですね、セージ兄様。遠征任務の方は?」
「無事に終わらせてさっき帰ってきたんだ。ギリギリ祝賀会に間に合ってよかったよ」
セージは近くを通りかかったパーティースタッフから、ワイングラスをもらうと、それを一息に飲み干して気持ちのいい息を吐き出した。
彼は第一王子として、王国軍で師団長を務めている。
そして二ヶ月前から師団を率いて遠征任務へと出ていた。
任務終了までの目処は立っていなかったが、そんなセージにも祝賀会のことを手紙にて伝えてあった。
なんとか間に合わせてくれたらしく、疲れの色を見せるセージにディルは静かに感謝する。
ディルは王国軍で術師序列一位に君臨する兄のセージを、魔術師として尊敬している。
だけでなく、大らかな性格ゆえの厚い人望と、優れた統率力で師団をまとめ上げているセージを、名将の手本としても見ていた。
幼い頃、ディルは突出した才覚ゆえに周りに傲慢な態度をとっていたけれど、兄に対してだけは強く出られずむしろ尊敬の眼差しを向けていた。
そんなセージにだけは婚約者発表の件も伝えてあり、その瞬間を見届けてもらおうと思って招待の手紙を送った。
そしてディルは、さっそく婚約者のローズマリーを紹介しようとする。
「それでセージ兄様、僕の婚約者のことなんですけど……」
「あぁ、あの青ドレスの子だろ」
「……?」
ローズマリーのことを伝えるより先に、セージは彼女に視線を向けていた。