名門の魔法学校を首席で卒業した私、「女のくせに生意気だ」という理由で婚約破棄される〜代わりにもらってくれたのは、入学からずっと首席争いをしていた次席のライバル王子でした〜
第十話 「大切な場所」
マーシュ・ウィザーの襲撃があった祝賀会から二週間。
私はディルと一緒にピートモス領まで戻ってきていた。
無事に婚約発表も終わらせたため、また領地開拓の手伝いをする日々である。
と思ったのだけれど、マーシュとのあの一件があったためか、ディルが気遣ってしばらく体を休めるように言ってくれた。
私としては本当にもう大丈夫だったんだけど、直近で大仕事となりそうな開拓作戦は無さそうだったので、お言葉に甘えて屋敷で休息日をもらうことにする。
ディルも私を心配してか、屋敷にいてくれる時間が多くなった。
というのも、いまだにマーシュは逃亡中で、足取りがまったく掴めていないらしい。
王国軍と自警団の話によれば、すでに王都を出て別の町や領地に逃げ込んでいる可能性が高いとのこと。
だから再び私の前の現れることも否定できないからと、ディルは私を守るために屋敷に常駐してくれているのだ。
ちなみにウィザー家は息子の愚行に激昂し、家名を汚した罪を償わせるべく捜査に全面協力しているらしい。
王子の婚約者を襲撃したマーシュの汚名は、王国中に広まりつつあり、捕らえられるのも時間の問題と言われている。
その吉報を待ちながら、何事もない平穏な日々を過ごしていると――
それは、突然やってきた。
「ディル様! 緊急事態です!」
「んっ?」
ちょうどディルが、書斎に私の様子を見に来ている最中のこと。
開拓兵の一人が慌てた様子で、書斎の扉を蹴破るような勢いでやって来た。
“緊急事態”という言葉に、それまで穏やかだったディルも険しい表情になる。
「突然どうしたのかな?」
「森林地帯より先の地底湖で、封印されていた飛竜が目を覚ましました……!」
私はディルと一緒にピートモス領まで戻ってきていた。
無事に婚約発表も終わらせたため、また領地開拓の手伝いをする日々である。
と思ったのだけれど、マーシュとのあの一件があったためか、ディルが気遣ってしばらく体を休めるように言ってくれた。
私としては本当にもう大丈夫だったんだけど、直近で大仕事となりそうな開拓作戦は無さそうだったので、お言葉に甘えて屋敷で休息日をもらうことにする。
ディルも私を心配してか、屋敷にいてくれる時間が多くなった。
というのも、いまだにマーシュは逃亡中で、足取りがまったく掴めていないらしい。
王国軍と自警団の話によれば、すでに王都を出て別の町や領地に逃げ込んでいる可能性が高いとのこと。
だから再び私の前の現れることも否定できないからと、ディルは私を守るために屋敷に常駐してくれているのだ。
ちなみにウィザー家は息子の愚行に激昂し、家名を汚した罪を償わせるべく捜査に全面協力しているらしい。
王子の婚約者を襲撃したマーシュの汚名は、王国中に広まりつつあり、捕らえられるのも時間の問題と言われている。
その吉報を待ちながら、何事もない平穏な日々を過ごしていると――
それは、突然やってきた。
「ディル様! 緊急事態です!」
「んっ?」
ちょうどディルが、書斎に私の様子を見に来ている最中のこと。
開拓兵の一人が慌てた様子で、書斎の扉を蹴破るような勢いでやって来た。
“緊急事態”という言葉に、それまで穏やかだったディルも険しい表情になる。
「突然どうしたのかな?」
「森林地帯より先の地底湖で、封印されていた飛竜が目を覚ましました……!」