名門の魔法学校を首席で卒業した私、「女のくせに生意気だ」という理由で婚約破棄される〜代わりにもらってくれたのは、入学からずっと首席争いをしていた次席のライバル王子でした〜
「今のはもしかして……」
「おそらく黒竜が暴れているんだろうね。ここまでその余波が届いているんだ」
姿は木々によってまだ見えないが、地響きの具合からしてそう遠くない場所にいるのはわかる。
私とディルは一層足取りを早めた。
気持ちに僅かな焦りが生まれる中、ディルが不意に横から話しかけてくる。
「黒竜は、ローズマリーをこの開拓作戦に誘おうと思った一番のきっかけでもあるんだ」
「えっ? そうだったの?」
「僕がこのピートモス領の開拓を任されると聞いた時から、黒竜は悩みの種だった。領地開拓を任せてくれた父様も、黒竜に関しては触れなくてもいいと言ってくれたんだ」
ディルは少し申し訳なさそうな顔で続ける。
「初めは僕もそのつもりだった。黒竜は何を拍子にして目覚めるかわからないから、下手に刺激しないように奥地の開拓は最初から諦めていたんだ」
次いで彼は、私に緋色を目を向けて、微かな笑みを浮かべた。
「でも、君に出会って考えが変わった」
「わたし?」
「ローズマリーは、過去に例を見ないほどの魔法の実力者で、僕は一度として勝つことができなかった。そんな君がもし協力してくれるなら、実現不可能と思われた黒竜討伐も叶えることができるんじゃないかと思ったんだ」
「おそらく黒竜が暴れているんだろうね。ここまでその余波が届いているんだ」
姿は木々によってまだ見えないが、地響きの具合からしてそう遠くない場所にいるのはわかる。
私とディルは一層足取りを早めた。
気持ちに僅かな焦りが生まれる中、ディルが不意に横から話しかけてくる。
「黒竜は、ローズマリーをこの開拓作戦に誘おうと思った一番のきっかけでもあるんだ」
「えっ? そうだったの?」
「僕がこのピートモス領の開拓を任されると聞いた時から、黒竜は悩みの種だった。領地開拓を任せてくれた父様も、黒竜に関しては触れなくてもいいと言ってくれたんだ」
ディルは少し申し訳なさそうな顔で続ける。
「初めは僕もそのつもりだった。黒竜は何を拍子にして目覚めるかわからないから、下手に刺激しないように奥地の開拓は最初から諦めていたんだ」
次いで彼は、私に緋色を目を向けて、微かな笑みを浮かべた。
「でも、君に出会って考えが変わった」
「わたし?」
「ローズマリーは、過去に例を見ないほどの魔法の実力者で、僕は一度として勝つことができなかった。そんな君がもし協力してくれるなら、実現不可能と思われた黒竜討伐も叶えることができるんじゃないかと思ったんだ」