名門の魔法学校を首席で卒業した私、「女のくせに生意気だ」という理由で婚約破棄される〜代わりにもらってくれたのは、入学からずっと首席争いをしていた次席のライバル王子でした〜
その人物がマーシュ・ウィザーであると認識すると、ディルはすかさず私の前に立ってくれた。
そして私は彼の背中越しに、驚愕の眼差しでマーシュを見据える。
様相はかなり変わっているけど、目の前のボロボロになっている人物はマーシュで間違いない。
奴はこちらに目を向けて、微かに笑っているように見える。
その目が血走っていることに不気味さを覚えていると、私も疑問に思っていたことをディルが口にした。
「なぜお前がここにいる。僕の領地で何をしているんだ」
その問いかけに、マーシュは確かな笑い声を返してくる。
「ハ、ハハッ……! 貴様らが、貴様らが悪いんだ……!」
「……なに?」
「貴様らだけ成功を収め……民衆から声援をもらい……いい気になりやがって……! 貴様らも破滅の道へと落ちるがいい」
マーシュの声は掠れていて、憎悪に満ちた声音と物騒な発言から一層の気味悪さを感じる。
いったいどういう意味の台詞だろうと首を傾げかけるが、私はハッと最悪の予感を脳裏によぎらせた。
「もしかして、黒竜の封印を解いたのは……」
ピートモス領の奥地に封印された伝説の飛竜。
その封印がなぜか解かれてしまい、飛竜は現在ピートモス領の森林地帯で暴れ回っている。
王国の魔術師たちが死力を尽くして施した封印は、そう簡単に解けるものではないはずだが、それを誰かが意図的に解こうとすれば話は変わってくる。
そして今、見計らったようなタイミングで現れた、私たちに強い恨みを持っているマーシュ・ウィザー。
背筋を凍えさせる私に、マーシュは悪意に満ちた笑みを浮かべた。
「盛大に共倒れようではないか、ローズマリー」
「――っ!」
そして私は彼の背中越しに、驚愕の眼差しでマーシュを見据える。
様相はかなり変わっているけど、目の前のボロボロになっている人物はマーシュで間違いない。
奴はこちらに目を向けて、微かに笑っているように見える。
その目が血走っていることに不気味さを覚えていると、私も疑問に思っていたことをディルが口にした。
「なぜお前がここにいる。僕の領地で何をしているんだ」
その問いかけに、マーシュは確かな笑い声を返してくる。
「ハ、ハハッ……! 貴様らが、貴様らが悪いんだ……!」
「……なに?」
「貴様らだけ成功を収め……民衆から声援をもらい……いい気になりやがって……! 貴様らも破滅の道へと落ちるがいい」
マーシュの声は掠れていて、憎悪に満ちた声音と物騒な発言から一層の気味悪さを感じる。
いったいどういう意味の台詞だろうと首を傾げかけるが、私はハッと最悪の予感を脳裏によぎらせた。
「もしかして、黒竜の封印を解いたのは……」
ピートモス領の奥地に封印された伝説の飛竜。
その封印がなぜか解かれてしまい、飛竜は現在ピートモス領の森林地帯で暴れ回っている。
王国の魔術師たちが死力を尽くして施した封印は、そう簡単に解けるものではないはずだが、それを誰かが意図的に解こうとすれば話は変わってくる。
そして今、見計らったようなタイミングで現れた、私たちに強い恨みを持っているマーシュ・ウィザー。
背筋を凍えさせる私に、マーシュは悪意に満ちた笑みを浮かべた。
「盛大に共倒れようではないか、ローズマリー」
「――っ!」