名門の魔法学校を首席で卒業した私、「女のくせに生意気だ」という理由で婚約破棄される〜代わりにもらってくれたのは、入学からずっと首席争いをしていた次席のライバル王子でした〜
 黒竜(シャドウ)との戦いを終えた後、私たちはすぐに開拓兵たちと合流した。
 そして討伐した旨を伝えると、みんなは歓喜の叫びを上げてくれた。
 この領地に迫っていた危機が去り、王国の災厄の再来も防ぐことができたのだから当然ではある。
 そしてその噂は、すぐに王国全土に広まることになった。

 マーシュ・ウィザーの暴走による災厄の飛竜の目覚め。
 激闘の末に覚醒した王子ディル・マリナード。
 結果、討伐は無事に成功し、脅威は完全に消滅した。
 私たちはその成果を称えられることになり、一方で元凶のマーシュは王都から駆けつけてきた衛兵に捕縛された。
 そして審判の結果、下された判決は労役場での『無期強制労働』。
 つまりは死ぬまで過酷な労働を課せられる終身刑を言い渡されたというわけだ。

 判決が下った瞬間、マーシュは過呼吸を起こしながら泣き崩れたと聞く。
 この先まだ自由な人生を長く送れただろうに、その道を自らの手で断ってしまったわけだから後悔はひとしおだろう。
 けれどあれだけの犯罪に手を染めておいて、それが若気の至りで許されるはずもない。
 奴にはきっちりと罰を受けてもらう。

 反対に私たちは、二頭の大蛇の討伐による祝賀会から間もないというのに、また王都から催しのための招集を受けた。
 ソイル王国の悲願でもあった黒竜(シャドウ)討伐を成し遂げたとして、その功績を国王様や国民たちから盛大に称えてもらった。
 そんなこんなで各地を転々とし、私とディルはてんてこ舞いの忙しさを味わった。
 そしてようやくのことでピートモス領の屋敷に帰ってきて、人心地つくことができたのは、黒竜(シャドウ)との激闘からおよそ一ヶ月後のことだった。
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